現在ではまったく異なる芸能に見られがちですが、元を辿れば同じ芸能で、今でも同じ舞台で演じられているのです。
中国から伝わった猿楽は、平安時代初期には大道芸の見世物や滑稽な物まねを幅広く取り入れた大衆芸能として人気となりました。
その後、観阿弥・世阿弥の時代には、神事・慶事の伝承、貴族たちの恋物語、武将たちの戦記、怪物退治、親子・恋人の別れの悲劇のほか、多彩な物語を劇的に描く能と、親しみやすい一般庶民を主人公にして、滑稽な話を独特のしぐさや語りで演じる狂言とに、はっきりと分かれるようになります。