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能楽トリビアTrivia

Question34 揚幕の開閉はどうやるの? (2008年7月11日追加)

イラスト

揚幕は、それ自体が重要な舞台装置のひとつです。多くの演目で、この世とあの世とを分ける境界線となり、演じ手の登場と退場に特別な印象を与えます。長い竹の棒を使い、ふたりがかりで行う開閉には、いくつかのパターンがあり、それぞれ演出効果を発揮します。

装束を着けた人物の通過時に開けたり、閉ざしたりする動きを「本幕」と呼びます。一方、囃子方の舞台入場時や、たいていの間狂言が通る時には、幕の片側だけをめくりますが、これを「片幕」と呼びます。「片幕」では、竹の棒は使わずに手で幕を持ち上げます。さらに幕を巻き上げて後シテの姿を見せ、登場の緊張感の高まりを表した後、いったん幕を降ろしてから改めて本幕に上げ、演技を続ける「半幕」と呼ばれる演出もあります。

幕の上げ下げは、通常、若い者が担当し、舞台の展開や緊張感を体で覚えていきますが、難しい演目の場合には後見が担当することもあります。揚幕の開閉という一見地味な役回りも、能一曲を通して場面づくりに欠かせない、大切なものなのです。


イラスト:坂木浩子
今までのトリビア

「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。


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