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日本が誇る伝統芸能とはいえ、実際に能楽堂に足を運んで観賞経験のある日本人はまだまだ一握り。そんな能未体験者や初心者が覚える疑問や驚きの質問に、The能ドットコムがお答えします。
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日本と関わりのあるイタリアオペラといえば「蝶々夫人」が有名ですが、能にヒントを得て制作された作品もあります。「Il tamburo di panno(布の太鼓)」がそれです。
イタリア人音楽家Orazio Fiume(1908年〜1976年)が作曲、台本を手がけ、1962年4月にローマ歌劇場で初演されました。フィウメは雑誌「La Scalla」の能楽に関する記事から着想を得たとされています。
舞台はオリエンタルな王宮の庭。美しい王女に恋した老庭師は彼女が住む館まで太鼓の音を響かせれば面会が叶うと言われます。しかし、用意されたのは鳴るはずのない布張りの太鼓。鳴らぬ太鼓を打ち続け、悲嘆のあまりに池に身を投げてしまいます。夜、池の畔をさまよう王女に老庭師の亡霊が布の太鼓を鳴らすよう迫り、絶望のなか王女は息絶えてしまう、というストーリーです。イタリアの文献では元となった能の演目名は記されていませんが、おそらく「綾鼓」(参照:演目事典 綾鼓)だと思われます。
「Il tamburo di panno」はローマで好評を博した後、ボローニャやトリエステなどでも上演、1963年には公共放送RAI(ラジオ)で放送され、翌年にはRAIでテレビ放映もされました。また、1974年のRAI制作によるプロダクションでは、イタリアで活躍した日本人ソプラノ歌手、