「猿に始まり、狐に終わる」という言葉が伝わる狂言の家があります。
その家の子どもたちの多くは「
この猿役で子方は、狂言の演技で重要な「物真似」と「リズム感」を学びます。物真似には、四つ這いで歩く、鳴き声を出す、ひっかく、背中やお尻を掻く、蚤を取る、引き綱で遊ぶ、などがあります。また、猿歌や台詞に合わせて動く場面では、高度なリズム感も求められます。これらさまざまな要素を、面をかけて視野が狭められた状態で、話全体の流れに沿って演じなければなりません。幼い子どもにとっては厳しい修業のはじまりとなります。
また猿を繋ぐ引き綱を持つ猿曳も大切な役を担います。猿曳はこの引き綱を使って、猿が舞台から落ちないように調節したり、きっかけの合図を送ったりして、猿をしっかりと導きます。
周りの演者に見守られ、鍛えられながら、子方はスタートするのです。