演者が舞台から落ちてしまうことは、ごくまれにあることです。とりわけ面をつけていると視界が極端に狭く、足もとは目視できません。柱の位置や歩数で確認するわけですが、寸法の異なる能舞台や特設会場などでは見当を間違うこともあるようです。
能の舞台は、どのようなアクシデントがおきても中断はできません。舞台から落ちても演者は慌てずに舞台に戻り、何事もなかったように続けるのが原則です。
万が一、演者が続けることができない場合は、通常、後見がその場で代役を務めて舞い、演目を続行することになります。
「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。