私たちが、日常何気なく使っている言葉の中に、能・狂言の世界に語源を持つものがあります。
たとえば、「芝居」。室町時代、神事である「翁」や、田楽・猿楽などの興行は、人が集まりやすい寺社境内で行われていました。当時は客席などありませんので、人びとは芝生の上に座って見物しました。このときの「芝生に居る(座る)」から「芝居」という言葉が生まれたといわれています。
また芝居が終わることを「芝居がはねる」といいます。これは、これら芝居の興行があった際、木戸銭をとるために、周りに柵を立てむしろを下げて区切っていたのを、終わるとむしろをはねあげて、一斉にお客を追い出したことが始まりだといわれています。
一方、「テレビ番組」などで使っている「番組」も、もともとは能の世界で、能と狂言を一演目ずつ行う催しを「番組」と言ったところから起こっています。