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能楽トリビアTrivia

Question63 「小謡」は能理解への近道?(2009年6月8日追加)

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江戸時代、庶民には観能の機会はほとんどありませんでしたが、出版が盛んになると謡本が普及し、謡は全国に広まりました。やがて謡曲の一部を謡どころ、聴きどころとして謡い、聴かせる「小謡(こうたい)」が流行し、庶民文化として根付きます。小謡は1分から3分程度。元の謡曲の謡本に小謡の部分が指定され、小謡部分だけを集めた小謡本も江戸時代から普及しました。

たとえば結婚式でよく耳にする「高砂やこの浦舟に帆をあげて〜」で有名な「高砂」の場合は、ここを含めて5カ所も祝言の小謡で謡われます。小謡は結婚式(「高砂」ほか)や棟上げ式(「鶴亀」「邯鄲」ほか)などの祝言・慶事だけではなく、法事の際に追善(「融」「海人」ほか)としても謡われました。花見(「桜川」「鞍馬天狗」ほか)や宴会の席(「紅葉狩」「大江山」ほか)で謡われる小謡もあり、酒席で謡われるものを肴謡と呼びました。いかに謡が庶民の生活の中で身近に楽しまれてきたかが窺えます。

謡は難しい、なじみがないから理解しづらいと感じる場合は、小謡から入っていくのもよいアプローチ方法です。そのワンフレーズから謡のエッセンスを感じ、能もより身近に感じられることでしょう。


イラスト:坂木浩子
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「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。


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