100年は経たないと評価されない、ともいわれる能面。古くは室町時代のものもあり、数百年もの間、数々の能楽師によって用いられてきました。一曲演じるエネルギーは相当ですから、当然能面の裏側、顔と接している部分には汗や皮脂が付着します。
外す時から気を遣い、まず汗が面の表に垂れないように、上向きに外します。その後、手入れしますが、けれど、洗うなどもってのほか。和紙で丹念に水気などを取り、適度に乾燥させます。乾き具合をみて綿のクッションがついた面袋に収め、桐箱に収納します。さらに能面箪笥に一つひとつしまう場合もあります。装束同様、四季折々の虫干しも欠かせません。
古い能面では、その面をかけると数百年の時を超えるような独得の感慨を覚えるといいます。